“La Lentille Blonde de Saint-Flour ? …votre grain de folie !!”

フランス中南部カンタル山の麓から、奇跡のレンズ豆、ランティーユ・ブロンド・サンフルールをお届けします

Photo by Jean-François FERRATON

 

Née des sols de la Planèzeの名の通り、遥か昔3000年以上前には活火山だったカンタル山の溶岩の大地で生まれました。

このランティーユ・ブロンド・サンフルール(ブロンドレンズ豆)は18世紀後半には既に栽培されていたことが資料に残されています。1948年には作付面積2000ヘクタールという最高水準にあったと言われていました。ところが1960年代に入り、生産者の経済的な事情から酪農業にシフトし始め、作付面積・生産量が共に減少、輸入品との競争激化もあり市場から姿を消しました。ランティーユ・ブロンドは、もう昔話でしか存在しないものとなっていきます。

それから30年余り。

1997年に一軒の農家の納屋から、祖父母世代が残した、ランティーユ・ブロンド(レンズ豆)が見つかったことから、小さな生産者のグループによる奇跡のレンズ豆、ランティーユ・ブロンドの復活プロジェクトが始まります。

始まりはわずか16の苗床から

科学的にも研究を重ね、村の長老達、ミッシェル・ブラスら著名な料理人によるアドバイスを受け、2001年に見事商品化に成功し、2002年、市場に復活を果たしました。

フランスでは以前からゴボウ、キクイモ、パネ、チョロギ等の忘れられた野菜(Légumes Oubliés)を復活させるプロジェクトがあり、このランティーユ・ブロンド(ブロンドレンズ豆)はその標本のような商品であると言えるでしょう。

2009年には特級品の証とされるラベル・ルージュ(Label Rouge)を冠し、スローフードのメンバーでもあります。

現在はAOP(Appellations d’Origine Protégée)原産地保護呼称 取得申請中です。

栽培

ランティーユ・ブロンド・サンフルールは現在42人の生産者が栽培しています。BIO認定を受けた生産者が2名おり、他の生産者は統合的農業を実践しているので化学薬品を使っているとしても極わずかです。

ランティーユ・ブロンド・サンフルールに関しては肥料、殺菌剤、殺虫剤などは全く使用していません。種まきの初期に、苗床に生えるカモミール、アカザを駆除するために除草剤を使用することもありますが(病床施薬)、化学製品ではありません。それは収穫の90日以前までに行うと決まっています。

またサンフルールの生産者達は月や惑星、宇宙のリズムと合わせて耕作するカレンダー(calendrier lunaire)を用いて作業しています。もとはドイツのルドルフ・シュタイナーの提唱するバイオダイナミック農法暦だと思われますが、フランスでは農作業の指針として用いられるカレンダーです。葉、根、花、果実と粒の4種類に分類され、ランティーユ・ブロンドは果実と種のカテゴリーに入ります。先人達が残した種を、先人達の用いた農法で栽培しているのです。

生産者の多くは雑穀を栽培していた頃の事は知りません。酪農業で育った世代です。初めは酪農業と併せてもう一つの収入源となれば良い、と始めたランティーユ・ブロンドの栽培ですが、料理人達からの評価も高くなり、牧畜を手放しランティーユ・ブロンドの栽培を専業とする生産者もあります。今では地域を代表するこのランティーユ・ブロンドを誇りに思っています。

古くからの農法に従った栽培をしていることもあり、いくつかの認証を得ていますが、実は生産者達はこの事に関しては重要であるとは考えてはいません。バイオダイナミック農法で育てられていることさえも大きく宣伝はしていません。

しかしながら、サンフルールにはひとつ大きな問題があります。日本の農村にもよく見られる現象として、人口の減少、特に若者世代の人口流出はもう何十年も前から危惧しているのです。若者世代にもこのランティーユ・ブロンド・サンフルールを大きな誇りとして引き継いでいってもらいたい、その思いから、現在はAOP(Appellations d’Origine Protégée)原産地保護呼称 取得申請に力を注いでいます。

生産量はまだそれほど多くはありません。庶民的な素材であるはずのランティーユ(レンズ豆)としてはフランス国内でも高価なものですが、ほとんどがフランス国内で消費されています。2000年代にフランスで修業時代を過ごした料理人の方々の「日本でも使えたら良いな」の声をもとに、3年にわたる交渉の末、ごくわずかではありますがこのたび正式に輸入を開始いたしました。

ランティーユ(レンズ豆)の最大の魅力は浸水せずに調理が可能なこと。また、推奨する賞味期限はありますが、品質に大きな変化がなく、ロスがないことではないでしょうか。何もない時にでもさっと調理出来る。レストランのストックには大変重宝する素材であると言えます。

日本の各地にもこのように復活した伝統野菜が多くあるでしょう。日仏の素材のコラボレーションで、歴史と夢を載せた一皿をお作りいただけるお手伝いが出来ると考えています。